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水質汚染と生態系への影響

水質汚染と生態系への影響

 

水質汚染がもたらす影響は、人間に対してだけではありません。生態系そのものを破壊し、変質させてしまうことがあります。湖と海の事例から簡単にご紹介しましょう。

 

【猪苗代湖の事例】

 

福島県の猪苗代湖北岸でコカナダモという水生植物が大発生しました。コカナダモが大量に繁殖すると、ほかの水生生物を駆逐してしまい、生態系に大きなダメージを与えてしまいます。コカナダモは2002年に、1969年に湖水の調査が開始されてから初めて発見されました。それがやがて、水質汚染による湖水の富栄養化によって、大量発生してしまったのです。福島県自然保護協会では、生活排水や農薬、近隣のスキー場凝固剤の硫化アンモニウムなどが河川を通して湖に流れ込んでいるのが原因と見ているそうです。つまり、湖の生物が人間の生活の向上や娯楽の犠牲となっているわけです。

 

【赤潮・青潮】

 

海の赤潮や青潮も水質汚染が原因となって発生すると言われます。工場や生活排水が河川に流れ込んでしまうと、富栄養化状態となり、特定のプランクトンが異常繁殖します。大量のプランクトンが発生した水域では、プランクトンによって酸素がどんどん使われてしまい、魚など他の生物が生息できなくなってしまいます。さらに、海流が滞り、自然の浄化機能が上手く働かなくなる危険性も指摘されています。

 

また、赤潮や青潮が発生してしまと、酸素だけでなく日光の光も不足してしまいます。すると、サンゴが死んでしまうという事態が起こります。というのは、サンゴの中に共生し、サンゴに栄養と酸素を供給している褐虫藻が光合成できなくなり、サンゴの中から出て行ってしまうからです。その結果、サンゴは自力で酸素と栄養分を取ることが出来ない状態になって生息できなくなってしまうのです。

 

しかし、これではまるでプランクトンが悪者のように感じますが、決してそうではありません。これはまったく逆で、海の生態系にとって、植物プランクトンはとても重用な役割を担っているのです。まず、植物プランクトンは海の中に溶け込んでいる栄養や、光合成を行って栄養を得ます。このプランクトンが死ぬと、海底に沈んでいき、深海にすむバクテリアなどによってリンや窒素といった栄養に分解されます。これはプランクトンが海の上層部の栄養を海底に運んでいる事になります。次に、第一次消費者として動物プランクトンがそれを摂取し、さらに第二次消費者として魚介類が、さらにその上に哺乳類などがというように続いていき、生態系が保たれるのです。また、その間、海の中は風や潮の流れによって循環し、栄養素がバランスよくいきわたっていきます。このような自然の驚くべき仕組みを、水質汚染が壊してしまうことを考えると、これは深刻な問題だと言わざるを得ません。